▲ 動画で「誰もがみんなサンタクロース」を読む ▲
あいたたた あいたたたたた
サンタクロースのおじさんは
えんとつから 落っこちて ケガをしてしまったよ
どうしよう どどどどどうしよう
この足では こどもたちに
プレゼントを 届とどけることができないや
ねえねえ
サンタクロースのおじさんが ケガをしてしまったらしいよ
ねえねえ
サンタクロースのおじさんが ケガをしてしまったらしいんだ
うわさ話は 耳から耳へ
北へ南へ東へ西へ 上から下まで右へ左へ
またたく間に 世界中に 広がっていきました
こどもたちの 喜ぶ顔が 見たいのです
どうしたら こどもたちの 目が覚めた時に
プレゼントを 用意することが できるのだろう
サンタクロースのおじさんは トナカイたちと
朝から夜まで ああでもない こうでもない と話し合いました
ついにやってきた クリスマスイブの夜
ぼくたちにまかせて!
トナカイたちは お互いに協力することを 約束して
ありったけの 勇気をふりしぼって
サンタクロースのおじさんに 赤い服と モフモフのついたぼうしを 借りて
沢山のプレゼントを ソリにのせて
赤い鼻を ピカピカに光らせながら 走りだしました
サンタクロースのおじさんは とても心配そうな顔で
トナカイたちを 見送くりました
リンリンリン シャンシャンシャン
トナカイたちは 勢いよく 走りだしました
ところが大変
サンタクロースのおじさんがいないと
重たい重たい 沢山のプレゼントを のせたソリは
思うように星空を かけめぐることが できません
どうしよう どうしよう
私たちにまかせて!
それを見ていた 赤いぼうしを ちょこんと被った鳥たちが
ソリの端っこを くいくいっと 上に引っ張ってくれました
すると トナカイたちのソリは思い通りに 空を走り回ることが できました
ありがとう ありがとう
そして こんもりとした 丘の上にある
高い高い えんとつのあるお家に たどりつきました
すると 今度は トナカイたちの その大きなツノが じゃまをして
狭い狭い えんとつの中に 入っていくことが できません
どうしよう どうしよう
ぼくにまかせて!
赤いぼうしを ちょこんと被った
首の長いキリンが ひょいとプレゼントを 持ち上げると
えんとつを のぞきこむようにして コトンと
こどもの部屋の テーブルの上に プレゼントを 置いてくれました
ありがとう ありがとう
今度は大きな大きな川の 向こう側に見える
たきに囲まれたお家に プレゼントを届けたいのですが
トナカイたちは どうにも水にぬれるのが 苦手なのでした
どうしよう どうしよう
よしきた おれにまかせろ!
赤いぼうしを ちょこんと被った
大きな口のワニは プレゼントを ガブリとくわえて
ゴクンと 飲み込まないように 気をつけながら
水の中に ザブンともぐって 川の中を進んでいきます
そして たきの向こうにあるお家に プレゼントを置いてくれました
ありがとう ありがとう
今度は 深い深い地面の おくふかく
暗い暗いどうくつの おくにあるお家に
プレゼントを 届けなくてはなりません
ピカピカに光る じまんの赤い鼻で 照らしても
どうにも暗くて 先が見えません
どうしよう どうしよう
ほいな わいに まかしとき!
赤いぼうしを ちょこんと被った モグラが
プレゼントを 片手で抱えると グングン深くまで まっくらやみの中を
掘り進めて プレゼントを 置いてくれました
ありがとう ありがとう
今度は 広い広い砂漠の 真ん中にある
砂嵐にかこまれた お家に プレゼントを 届けなくてはなりません
トナカイたちは 砂に足が埋まって 前へ進めません
目を開けているのすら 大変です
どうしよう どうしよう
わたしにまかせなさい
ラクダたちが ゆったりと砂を踏みしめながら
ふたつのこぶの間に プレゼントを置いて 運んでいきます
そして 砂漠の真ん中のお家にプレゼントを 届けてくれました
ありがとう ありがとう
動物たちが 協力してくれた おかげで プレゼントも 残すところ あとひとつ
夜が明けるまで もう時間が少ししかありません
山の向こうで 太陽がムズムズ 出てきたそう
朝になれば こどもたちが 目を覚ましてしまいます
急げ急げ!
トナカイたちは、最後のプレゼントを
無事に届けることができるのでしょうか...?
やさしくあたたかな気持ちが、みんなへ届きますように。
しあわせな時間が、溢れますように。
Merry Christmas. Happy Christmas.
文:金井政人 / BIGMAMA 絵:mikimikimikky1016.
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定価:1,818円(税込2,000円) / 判型・ページ数:B5判 40ページ / ISBN:978-4-434-29660-4